凰稀かなめのキャリアを検証する上で、1期先輩である85期の元星組トップスター・柚希礼音との関係性は避けて通れません。雪組で順調にステップアップを果たしていた凰稀かなめは、2009年に星組へ組替えとなり、トップスターとして君臨していた柚希礼音を支える2番手男役に就任しました。
当時の星組は、圧倒的なダンス力と熱狂的な求心力を持つ柚希礼音を中心に、劇団随一の熱量とダイナミズムを誇っていました。そこに加わった凰稀かなめは、柚希礼音の骨太な太陽のような輝きとは対照的に、涼やかでミステリアスなノーブルさを放ち、星組にこれまでにない陰影と奥行きをもたらしました。
伝説の舞台『ノバ・ボサ・ノバ』におけるオーロ役や、大ヒット作『オーシャンズ11』での冷酷非情なカジノオーナー、テリー・ベネディクト役など、柚希礼音と対峙するライバル役を緊迫感たっぷりに演じ切ったことは、ファンの間で今なお語り草です。報道陣の取材や当時の特番インタビューにおいて、凰稀かなめは「柚希さんの背中を見て、トップとして組を背負うことの覚悟と厳しさを学んだ」と述懐しており、この星組2番手時代こそが、彼女を真のリーダーへと脱皮させる決定的な転機となりました。
そして2011年、宙組への組替えを経て、2012年7月に大空祐飛の後任として第6代宙組トップスターに就任します。トップ就任に際して相手役に迎えられたのが、のちに宝塚を代表する実力派トップ娘役へと成長する実咲凜音でした。