『男はつらいよ』シリーズにおける佐藤蛾次郎さんの出演回数は、全50作中実に49作にのぼります。名脇役キャスト陣の中でもトップクラスの出演記録ですが、ファンなら誰もが知る「たった1回だけの欠席」が存在します。
それが、1971年公開の第8作『男はつらいよ 寅次郎恋歌』です。撮影直前に蛾次郎さんが交通事故に遭い、足を骨折して入院を余儀なくされてしまったのです。通常であれば代役を立てるケースですが、メガホンを取る山田洋次監督の決断は異なりました。
山田監督は「源公の代わりは誰にもできない」と代役を立てず、劇中では「源公は旅に出ている」という設定にして蛾次郎さんの復帰を待ちました。この山田洋次監督の秘話からも、蛾次郎さんがいかに作品の骨格として重宝され、スタッフ陣から愛されていたかが如実に伝わってきます。