『相棒』がスタートした2000年代初頭、日本の一般的な家庭やオフィスにおいて、紅茶といえば手軽なティーバッグで済ませるのが主流だった。だが、右京が見せた本格的な紅茶の所作は、「丁寧に一杯を淹れる時間の贅沢さ」を日本中に広めた。放送開始以降、紅茶専門店への来客が増加し、本格的な茶葉や茶器の売上が急増したという事実は、作品の社会的影響力の大きさを物語っている。
コーヒー文化が根強い日本社会において、大人の男性が嗜むエレガントな嗜好品としての「紅茶」を定着させた功績は計り知れない。無骨で男臭い刑事ドラマのステレオタイプを打ち破り、知的で洗練された「紅茶を愛する名探偵」という像を完成させたのだ。