信仰の場でまことしやかに囁かれるのが、この真言が持つ恐ろしいほどの即効性と威力だ。不動明王は、右手に持った宝剣で邪気や執着を切り払い、左手に握る羂索(けんさく)で悪心を縛り上げて救済へと導く。そのため、災難消除、立身出世、悪霊退散、心身健全といった絶大なご利益をもたらすと信じられてきた。
一方で、密教の秘術には常に裏の側面がつきまとう。生半可な気持ちや悪意をもって呪文を唱えた場合、その強烈なエネルギーがそのまま自分自身に跳ね返ってくるからだ。恐ろしい効果とされる正体は、唱え手の内に潜む邪心を容赦なく焼き尽くす不動明王の猛炎そのもの。純粋な心で向き合わなければ自滅を招くという戒めこそが、この真言を最恐の呪文たらしめている所以である。