街宣車の爆音を警察が即座に取り締まらない法的理由と裏事情

街宣車の爆音を警察が即座に取り締まらない法的理由と裏事情

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なぜ街宣車は取り締まらないのか——その核心にあるのは、警察が即座に動けない法的な限界と、警察内部における徹底したリスク管理の判断基準だ。現場で拡声器の配線を切断したり強引に運転手を引きずり降ろしたりしないのは、感情的な忖度ではなく、法廷で確実に有罪を勝ち取れる証拠保全を最優先しているからだ。

現代の警察実務では、路上での無用な流血や公務執行妨害の誘発を避け、高性能カメラによる全行程のビデオ撮影(証拠化)が標準化されている。現場で揉み合いになって逮捕しても、手続きの不備を突かれて釈放や不起訴処分となれば警察組織としての打撃は大きい。そのため、現場ではあえて決定的な違法行為に至るまで泳がせ、後日に家宅捜索や組織幹部の共謀関係まで含めて一網打尽にする「内偵・事後立件」のスタイルが定着している。

さらに、騒音基準の数値立証は極めてシビアだ。周囲の車の走行音や電車の通過音といった暗騒音(バックグラウンドノイズ)が混ざると、法廷で「街宣車単独の音量」として証拠能力が否定されるリスクがある。警察内部では、確実なデータが揃わない限り見切り発車での強制捜査を行わないという冷徹な判断が下されているのが実態だ。

佐藤 大輔
著者

佐藤 大輔

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