彼の才能はお笑いだけに留まらなかった。声優業界にその名を刻んだ代表作が、2000年代初頭に放送されたテレビアニメ『満月をさがして』のタクト・キラ役だ。死神でありながら主人公の少女を温かく見守る複雑な役どころを、彼は本名の斎藤恭央名義で見事に演じ切った。
低音のハスキーな響きの中に、切なさと包容力を同居させたその声は、多くのアニメファンの心を掴んで離さなかった。当時、芸人が声優に挑戦する事例は少なからず存在したが、彼の演技は「単なる話題作り」の域を遥かに凌駕していた。台本を徹底的に読み込み、キャラクターの心情を骨の髄まで咀嚼してマイクの前に立つ。その憑依的な芝居への向き合い方は、現在活躍する声優陣の間でも語り草になっている。