あの独特な打楽器の正体は、日本の伝統的な子供のおもちゃである「でんでん太鼓」をベースに特注加工されたものだ。当時のテレビ番組制作現場では、日常に転がっている玩具や雑貨をいかに突拍子もない演出へ落とし込むかが勝負だったという。志村けんは、ただ玩具を振るだけでなく、自ら手に持った時の角度や柄の長さ、塗りの質感にまで細かくこだわり抜いた。
一見するとチープな民芸品に見えるが、実は美術スタッフが何度も音響テストを繰り返し、マイク拾いが最も良い革の張り具合に調整された「唯一無二の特注品」だった。この小さな道具ひとつにも、妥協を許さないプロフェッショナル精神が息づいていたのだ。