この千古の妖狐を、21世紀のポップカルチャーにおいて鮮烈なアンチヒロインへと昇華させた立役者といえば、間違いなくTYPE-MOONだろう。PlayStation Portable向けRPGとして登場した『Fate/EXTRA』において、キャスターのサーヴァントとして描かれた玉藻の前は、従来の「恐るべき傾国の妖異」というステレオタイプを大胆に刷新した。
愛嬌に満ちた「良妻願望」の仮面を被りつつ、その根底に世界を滅亡させかねない神格(悪神)としての冷酷さを秘めた二面性。この絶妙なキャラクター造形は、爆発的ヒットを記録し続ける『Fate/Grand Order』にも受け継がれ、国内外の熱狂的な支持を獲得している。単なる悪役の断罪に終わらず、人間になりきれない神魔の孤独や葛藤に光を当てるアプローチは、伝承の持つ悲劇性を新たな角度から照らし出した。