宮中三殿で行われる極秘儀式の全貌とはどのようなものなのか。一般には決して公開されないその神聖な空間について、宮内庁関係者が重い口を開いた。
「三殿の内部には電灯が一切ありません。夜間の祭祀では、伝統的な油皿や和ろうそくの微かな炎だけが空間を照らします。床の漆にゆらめく影と、衣擦れの音だけが響く異様な静寂。外の世界の喧騒が嘘のように遮断された、まったく異次元の時間が流れています」
儀式に臨む際、天皇は「潔斎(けっさい)」と呼ばれる厳しい心身の清めを行う。純白の祭服である「御祭服(ごさいふく)」を身に纏い、一歩一歩、板張りの廊下を進んで社殿の奥へと入る。そこでは掌典職(しょうてんしょく)と呼ばれる専門の祭祀職員たちが影のように控え、太古から定められた作法に則って神饌(しんせん)を供え、祝詞を奏上する。息を潜め、額を床に擦り付けるようにして祈りを捧げるその姿は、政治的権力を持たない象徴天皇が背負う、最も重く孤独な務めの瞬間でもある。