日本映画において、ここまで剥き出しのメッセージを突きつける作品は極めて稀だ。多くの作品が兵士の哀愁や家族の絆を情緒的に描くなかで、本作は国家の理不尽な暴力と市井の人々の歪みを直視する。
若松孝二監督は、美化された「お国のために散った英霊」という幻想を容赦なく剥ぎ取った。残された者の地獄、暴力の連鎖、そして村社会の冷酷な視線。重苦しいテーマを背負いながらも、1本の独立したドラマ映画として観客の目を離させない力強さがある。真の反戦映画とは何かという問いに対する、映画人たちの泥臭くも切実な回答がここにある。