映画での繊細な心理描写から、劇場を包み込むような舞台での発声まで、彼女の演技の振り幅には驚かされるばかりだ。単に与えられた役を演じるにとどまらず、作品全体が持つ空気感や他者との関係性を立体的に構築していく力がある。スクリーン越しでも生身の人間としての息遣いが伝わってくるのは、役柄の背景にある人生までを深く掘り下げて呼吸しているからにほかならない。
近年の出演作で見せる演技は、かつての可憐さや透明感に加え、人間の滑稽さや凄み、哀愁までをも自然体で表現する深みを増した。観客は彼女の表情一つ、沈黙の間一つに引き込まれ、物語の世界へと誘われていく。