死刑が執行されたことで、法務省による刑事手続としての区切りはついた。しかし、刑事司法が突きつけられた課題は何一つ解決していない。厳罰化と隔離によって、同様の動機を持つ予備軍の発生を未然に防ぐことができるのかという命題だ。
事件直後に閉鎖された秋葉原歩行者天国は、警視庁による綿密な巡回体制や防犯カメラの増設を経て再開された。だが、都市空間の物理的な監視をいくら強化しても、個人の内面に沈殿する孤独と殺意の萌芽を摘み取ることは不可能に近い。制度としての治安維持の限界と、予防のための包括的な福祉支援の不足という歪みが浮き彫りになっている。