長谷寺が「花の寺」と称される所以は、初夏を彩る「あじさい路」の圧倒的な美しさにある。山の斜面に沿って整備された散策路には、40種類以上、約2,500株のアジサイが咲き誇り、青や紫、ピンクのグラデーションが斜面を埋め尽くす。見頃となる6月中旬から下旬には入場整理券が発行されるほどの熱狂を生むが、長谷寺の魅力はアジサイの季節だけに留まらない。
早春には白梅と紅梅が境内を彩り、続いてしだれ桜やボタンが春の訪れを告げる。盛夏には池に浮かぶハスの清廉な花が参拝者を迎い、秋が深まれば境内一面のカエデやイチョウが燃え立つような紅葉を見せる。冬には凛と咲く寒椿やスイセンが雪化粧の石仏に寄り添う。いつ訪れても違った表情で旅人を包み込む植物の力配分こそ、この寺が年中人々を惹きつけてやまない理由だ。