テレビシリーズの成功を受けてスタートした劇場版は、作品の持つ可能性を飛躍的に拡張した。1993年公開の第一作『映画クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』は、SF的スケールとナンセンスなギャグを融合させ、映画としての基礎を打ち立てた。画面いっぱいに広がるハイグレ魔王の怪演とアクションの躍動感は、劇場に足を運んだ子どもたちの心に深い爪痕を残した。
そして作品は、アニメ史に刻まれる金字塔へと到達する。2001年公開の『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』だ。かつての万博や20世紀の郷愁に囚われた大人たちと、未来を生きようとする子どもたちの対立。ひろしが自身の半生を振り返る回想シーンは、涙なしには見られない屈指の名シークエンスとして評され続けている。ギャグ映画の枠組みを超え、日本のアニメーション産業全体に衝撃を与えたこの傑作は、昔のしんちゃんが秘めていた表現の最高到達点と言えるだろう。