瀟洒な洋館の内部には、専属シェフが腕を振るう厨房、選び抜かれた高級酒が並ぶバーカウンター、そして防音設備の施された個室が完備されていた。集うのは閣僚経験者、有力官僚、財界重鎮、さらには文化人まで、まさに日本の意思決定層の縮図そのものだった。
このサロンで提供されていたのは、単なる贅沢な食事や酒にとどまらない。選考を重ねて集められた「サロンガール」と呼ばれる美女たちによる手厚いアテンドが、男たちの警戒心を解きほぐしていったとされる。厳格な口止め誓約と閉ざされた空間がもたらす異常な万能感。そこは、公の場では口にできない法改正の裏取引や、大型公共事業の青写真が描かれる格好の舞台装置として機能していたのである。