1993年の番組立ち上げから2,700回以上の放送でキャスターを務めた国谷裕子氏の降板は、2016年当時、放送界のみならず政治・言論界をも揺るがす大きなニュースとなりました。
当時、報道各社からは「政府・官邸への過度な忖度があったのではないか」という政治的圧力説や、インタビュー時の厳しい追及姿勢を巡る摩擦が取り沙汰されました。しかし、NHK関係者の証言や公式発表を総合すると、決定打となったのは番組の放送時間帯移動(プライム帯から22時台へのシフト)と若年層開拓を狙った抜本的リニューアルでした。
国谷氏自身、降板後の手記やインタビューにおいて「番組を次の世代へ引き継ぐ時期が来ていた」「キャスター交代は組織の判断として受け止めている」と述懐しており、単一の政治要因というよりは、メディア環境の激変とNHK内部の編成方針転換が複合的に重なった結果といえます。
現在の国谷裕子氏は、東京藝術大学の理事や自然エネルギー財団の理事を務める傍ら、SDGs(持続可能な開発目標)やジェンダー平等、気候変動問題をテーマとした国際シンポジウムでのファシリテーターとして精力的に活動。公共的な言論空間におけるオピニオンリーダーとして、高い社会的信頼を保ち続けています。