ディーラーや街の整備工場の現場取材を通じて見えてきたのは、近年のエコカー特有の「バッテリー酷使の実情」です。特にアイドリングストップ車のバッテリー寿命は平均2〜3年と、従来のガソリン車(3〜4年)に比べて明らかに短命化しています。
信号待ちのたびにエンジン停止と再始動を繰り返すため、バッテリーは常に「浅い充放電」を激しく強いられます。加えて、現代の充電制御車は燃費向上のためオルタネーター(発電機)の稼働を極力抑えており、バッテリーは慢性的な満充電不足になりがちです。現場の整備士は次のように証言します。
「お客様から『最近アイドリングストップしなくなった』と相談されるケースの約8割は、バッテリーCCA値の低下が原因です。車両側のコンピューターがバッテリーの劣化を検知し、始動不能を避けるために意図的にアイドリングストップ機能を停止させているのです。これを放置すると、数ヶ月以内に完全な始動不能に陥ります」
さらに見落とされがちなのが、プリウスやアクア、ノートe-POWERなどのハイブリッド車・e-POWER車の補機バッテリーです。走行用メインバッテリー(数百ボルト)とは別に、車載コンピューターやハイブリッドシステムを起動(レディON)するための12V補機バッテリーがトランクルームや後部座席下に搭載されています。この補機バッテリーがCCA値低下によって立ち上がらなくなると、メインバッテリーにいくら電力が残っていてもクルマは一歩も動かせなくなります。車内搭載のため水素ガス排出ホース付きの専用規格が必要となり、交換費用も割高になるため事前のCCA測定による予兆管理が欠かせません。