実在の俳優をフェイスキャプチャーしてゲーム内に登場させる試みは、圧倒的なリアリティをもたらす反面、芸能人本人の私生活や活動状況に作品が直接左右されるという特大のリスクを孕んでいます。過去のシリーズにおいても、キャスト交代理由やモデル変更が大きなニュースとなった事例が複数存在します。
代表的な事例として知られるのが、『龍が如く4』の主人公の1人である刑事・谷村正義役を務めた成宮寛貴氏のケースです。成宮氏は2016年に突如として芸能界引退を発表しました。これを受け、後に発売されたPS4リマスター版(2019年発売)では、キャラクターのモデリングが一新され、声優も増田俊樹氏へと全面差し替えが行われました。ゲームの権利関係や二次利用におけるコンプライアンス遵守の観点から、引退したタレントの肖像をそのまま展開し続けることが困難であったと見られています。
さらに世間を大きく騒がせたのが、龍が如くスタジオが手掛けたサスペンスアクション『JUDGE EYES:死神の遺言』(2018年)における、ピエール瀧氏の不祥事(麻薬取締法違反容疑での逮捕)に伴うモデル変更です。発売直後の逮捕劇を受け、セガは即座に出荷およびダウンロード販売を一時停止。その後、羽村京平役のフェイスモデルをオリジナルCGに変更し、音声を声優の田中美央氏に差し替えた「新価格版」をわずか数か月でリリースするという異例のスピード対応を見せました。
また、『龍が如く HD EDITION』や『龍が如く 極』シリーズなど過去作のリメイク・リマスター時にも、声優の専業化や契約期間の満了、あるいは制作方針の刷新に伴い、一部のキャラクターボイスがオリジナル版から変更された経緯があります。実在人物を看板にする以上、IP(知的財産)の継続性を担保するためのリスクマネジメントは常に開発陣の重い課題となっています。