物理的な配送スピードの鈍化に追い打ちをかけているのが、SNS上での情報拡散のメカニズムだ。どこかの店舗で偶然配送が遅れ、一時的に棚が空になった写真が投稿されると、「トイレットペーパーが買えないかもしれない」というキーワードは、閲覧数を伸ばしやすいアルゴリズムに乗って一気に拡散する。
それを見たユーザーが「念のため買っておこう」と仕事帰りや翌朝に店舗に詰めかける。結果として、本来なら数日かけて消費されるはずの店頭在庫が数時間で蒸発し、真の意味での「売り切れ状態」が意図せず作り出されてしまうのだ。情報空間での恐怖感が、実社会の買い占め行動を増幅させる負のフィードバックループが、かつてないほどのスピードで回転している。