こうした学術界の知見を一気に大衆文化の最前線へと押し上げたのが、作家ダン・ブラウンによる世界的ベストセラー小説とその映画化作品『ダ・ヴィンチ・コード (映画)』である。レオナルド・ダ・ヴィンチの名画『最後の晩餐』でイエスの右隣に座る人物はヨハネではなくマグダラのマリアであり、二人の血脈が秘密結社によって守られてきたという筋書きは、世界中に強烈な歴史ミステリーの熱狂を巻き起こした。
フィクションとしての脚色を多く含みながらも、同作が果たした功績は大きい。何世紀にもわたって隠蔽されてきた教会の暗部に光を当て、「語られなかった女性の歴史」に目を向けるきっかけを一般の観客に提供したからだ。