「お酒を毎日飲む人は胆嚢炎になりやすいのか」という疑問に対し、消化器内科の臨床現場では「直接の主因は胆石だが、飲酒は発症の決定的な引き金になる」と説明されます。この関係を正しく理解するには、胆汁の流れとアルコールの代謝メカニズムを紐解く必要があります。
肝臓で作られた胆汁は、胆嚢で濃縮されて一時的に蓄えられ、十二指腸に食べ物が入ってきたタイミングで排出されます。アルコールを摂取すると、胆汁分泌と胆道系の運動性に急激な変化が生じます。エタノールとその代謝産物であるアセトアルデヒドはオッディ括約筋(胆管の出口にある筋肉)を緊張・痙攣させ、胆汁のスムーズな流れを阻害して胆嚢内の圧力を急上昇させることが分かっています。
さらに見逃せないのが「お酒と一緒に摂取する脂質」の影響です。アルコールが進むと満腹中枢が麻痺し、揚げ物や肉料理など高コレステロール・高脂肪の食事を過剰摂取しがちになります。これによりコレステロール結石が形成されやすくなるだけでなく、コレシストキニンというホルモンが大量分泌されて胆嚢が激しく収縮します。胆嚢内に潜んでいた小さな胆石が胆嚢管の出口にすっぽりはまり込み、出口を塞がれた胆嚢内で細菌が増殖して急性胆嚢炎の激痛が引き起こされるのです。