箱根駅伝を語る上で欠かせないのが、「往路優勝」「復路優勝」「総合優勝」の三冠関係です。全10区間を一度も首位から譲らず、往路・復路ともに制して勝つ「完全優勝」は、極めて高い総合力が求められます。
かつては「5区の山上り、6区の山下りを制したチームが自動的に総合優勝を手繰り寄せる」と言われていました。順天堂大学の今井正人氏や東洋大学の柏原竜二氏、青学大の神野大地氏といった「山の神」の出現が、そのまま往路および総合の優勝に直結していたためです。
しかし、近年のレース展開では明確な構造変化が起きています。5区でのタイム差が以前ほど開かなくなった一方で、平地区間である2区・3区・9区における1キロ2分40秒台前半の巡航ペースが常態化しました。山でのアドバンテージ以上に、「平地区間でのブレーキをゼロにし、全員がハイペースを刻み続けること」が完全優勝を達成するための絶対条件となっています。