多くの家庭料理人が最も恐怖を感じる工程が「ひっくり返し」です。しかし、広島風お好み焼きのひっくり返し方で失敗しない理由は極めて力学的なものに集約されます。崩れる最大の原因は「勢い不足」と「持ち上げすぎによる落下の衝撃」です。
成功率を100%にするための手順は以下の通りです。
1. 豚肉を乗せてつなぎの生地を垂らしたら、フライ返し(または金属製ヘラ)を2枚用意する。
2. 1枚を生地の底面中央深くまで差し込み、もう1枚を豚肉の上面に添えて上下から具材をしっかりと挟み込む。
3. フライパンの奥側の縁に本体を寄せ、手首を手前に返すのではなく「奥から手前へ180度転がすように」一瞬で反転させる。
反転直後は形がやや崩れていても問題ありません。ヘラでサイドから形を丸く整え、すぐにフライパンのフタをして弱めの中火で4〜5分間蒸し焼きにします。豚バラ肉から溶け出した脂がキャベツの層へと落ち、揚げ焼きのような香ばしさを生み出しながら、蒸気でキャベツがしんなりと沈み込みます。
麺・卵との合体プロセス
蒸し焼きが完了したらフタを取り、ヘラで上から軽く押さえて内部の余分な蒸気を抜きます。隣でカリッと焼き上げておいた中華麺の上に、フライパンから滑らせるようにしてお好み焼き本体をドッキングさせます。
空いたフライパンに油を引き、卵を1個割り落としてヘラで素早く黄身を崩し、本体と同じ直径に広げます。卵が半熟のうちに「本体+麺」を丸ごと卵の上に乗せ、卵に火が通ったら最後にもう一度全体をひっくり返します。美しい黄色い卵の面が天面になれば、ベースの完成です。
仕上げには、フルーティーな甘みとコクが際立つオタフクお好みソースを波打つようにたっぷりと塗り、青のり、お好みで白ごまや刻みネギを散らします。