SNSや大手レシピサイトのコミュニティを調査すると、「冷凍梅で作ったのに後味に強いエグ味が残った」「渋くて食べられない」という悲痛な失敗談が散見されます。便利で失敗が少ないとされる冷凍メソッドにおいて、なぜこのような味覚の破綻が起きるのでしょうか。
検証の結果、苦味の最大の要因は「時期尚早の未熟すぎる極小青梅の使用」と「加熱中の種の割りすぎ」にあることが判明しました。市場に出回る極端に硬く青い未熟果(いわゆる梅酒用の小粒青梅)は、クエン酸よりも不揮発性の苦味成分である青梅特有の配糖体(アミグダリン等)を過剰に蓄えています。これらは冷凍の細胞破壊をもってしても完全に不活性化できない場合があります。また、種を外す際に力を入れすぎて中の仁(天神様と呼ばれる核)を割ってしまうと、そこから強烈な渋み成分がジャム全体へ溶け出してしまうのです。
もし苦味の強い青梅に当たってしまった場合は、以下の梅ジャムの苦味取りの手順を実践してください。
- 一度目の下ゆで(ゆでこぼし):凍った梅をたっぷりの沸騰した湯に入れ、再沸騰してから弱火で約2分間だけ静かに茹で、ザルにあげて湯をすべて捨てます。この1回のお湯捨て(ゆでこぼし)によって、果皮表面の苦味物質の約70%が湯とともに排出されます。
- 冷水への短時間晒し:ザルにあげた梅を氷水に3分だけ浸し、急冷して余分な渋味を含んだ水分を抜きます。
- 砂糖の段階的投入:最初から全量の砂糖を入れず、半量の砂糖で弱火で煮崩してから残りの砂糖を加え、最後に小さじ1杯の本みりんまたはハチミツを隠し味として投入します。糖の複雑性が舌の味覚受容体をマスキングし、わずかに残ったエグ味を完全にまろやかさへと転換させます。