大手セレクトショップのバイヤー陣への取材によると、2026年春のメンズアウター市場は、前年までの「とりあえず羽織るビッグシルエット」から完全に脱却しています。店頭で最も支持を集めているのが、着丈をすっきりと短めに設定しながら身幅に程よいゆとりを持たせたショートブルゾンです。ヴィンテージのワークウェアやミリタリーを出発点にしつつ、ウール混の上品なスラックスに馴染むよう極限までディテールを削ぎ落としたミニマルデザインが棚を飾っています。
第2の潮流は、天然素材ライクな高機能テキスタイルの進化です。リネンやコットンのようなナチュラルな風合いを持ちながら、撥水・防風・ストレッチ性を備えたハイブリッド素材が各ブランドから一斉に登場しています。合繊特有のギラついた光沢感が抑えられたことで、ビジネスパーソンが休日にも気兼ねなく羽織れる選択肢が飛躍的に広がりました。
そして第3に、ペールトーンやニュアンスカラーの台頭が挙げられます。従来のメンズ春アウターはネイビー、ブラック、オリーブの3色に偏りがちでしたが、今季はグレイッシュなセージグリーンやスモーキーなトープ、砂のようなサンドベージュが主流色へと浮上しました。定番カラーからのわずかなスライドが、奇抜さを避けながらも周囲と明確な差を生む決定打となっています。