シュウ酸カルシウム結石 原因と対策を突き詰める際、一般に最も誤解されているのが「結石ができる場所」と「カルシウムの役割」です。かつては「結石の主成分がカルシウムなのだから、牛乳や小魚などのカルシウムを控えるべきだ」という誤った指導がまかり通っていた時代がありました。しかし現在の病態生理解析では、その真逆が証明されています。
シュウ酸とカルシウム 同時摂取の決定的な理由は、消化管内での化学反応にあります。食事で摂取したシュウ酸は、胃から小腸を通過する段階でカルシウムと結合すると、不溶性の「シュウ酸カルシウム」という結晶構造に変化します。この結晶は分子サイズが大きいため腸壁から血管内へ吸収されることができず、便と一緒にそのまま肛門から体外へと排出されます。
問題が起きるのは、食事中のカルシウムが不足している場合です。結合相手を見つけられなかった遊離状態のシュウ酸は、腸管からやすやすと血中に吸収され、血流に乗って腎臓へと運ばれます。そして尿中に濃縮されたシュウ酸が、尿管内で尿中のカルシウムと結合した瞬間、激痛を伴う結石へと成長してしまうのです。
つまり、シュウ酸を無力化する最善策は、「あらかじめ腸の中でカルシウムと握手させて便として捨てる」こと。ほうれん草のおひたしにかつお節としらすを添える、小松菜と厚揚げを炊き合わせる、食後に牛乳やヨーグルトを摂るといった日本の伝統的な献立は、極めて理にかなった防御策です。