華やかなサクセスストーリーの陰で、厳格な運営規律とシビアな経済格差という現実が存在する。まず、投稿者が最も恐れるのがアカウント削除処分、いわゆる小説家になろうBAN理由と規約に抵触するトラブルだ。
運営元であるヒナプロジェクトの利用規約は極めて厳格であり、特にペナルティが課されやすいのは以下の事例である:
- 複垢自演・ポイント誘導:複数アカウントを作成して自作に意図的な高評価を入れる行為や、SNS等で対価を提示してブックマークを促す行為。これらは発覚次第、事前警告なしで一発BANとなるケースが多い。
- 性描写・過度な残酷描写の境界線:全年齢対象サイトであるため、直接的な性行為描写は即時規約違反となる(姉妹サイトである成人向け「ノクターンノベルズ」等への住み分けが必須)。
- 無断転載および著作権侵害:他者の著作物や実在の商標を不適切に利用した場合の即時凍結。
また、BANに至らないまでも、作品の露出が突如遮断される小説家になろう検索除外という措置が存在する。著者が自ら設定する場合もあるが、規約のグレーゾーンに触れた作品が運営側によってランキングや一般検索から非表示とされるケースがあり、これを受けると新規読者の流入は事実上絶たれる。
そして、最も世間の誤解が多いトピックがなろう作家年収の真相だ。ネット上では「書籍化されれば数千万円の印税で悠々自適」といった言説が散見されるが、現場の実態はシビアな格差社会である。書籍化を達成した作家の収支構造は大きく3つの層に分断されている。
第1層は、コミカライズが大ヒットし、テレビアニメ化まで到達したトップ0.1%未満のメガヒット作家だ。漫画の印税(単行本売上の約5〜10%、電子配信収益)やグッズ・海外配信ロイヤリティが重なり、年収は5,000万円から数億円に達する。実際に長者番付レベルの収入を得る作家が実在するのは事実だ。
しかし、書籍化された作家の過半数が直面するのは「第2層・第3層」の厳しい現実だ。単行本1〜2巻が初版5,000〜8,000部程度で印刷された場合、印税収入は1冊あたり約50万〜80万円。売れ行きが初動で伸び悩めば、即座に「続刊中止(打ち切り)」の通告が下る。専業作家として生活を維持できるのはほんの一握りであり、多くのWeb発作家は本業の会社員を続けながら深夜に執筆を続ける兼業スタイルを強いられている。