なぜジュウザはあれほどの天賦の才を持ちながら、乱世の覇権を争うこともなく、放蕩と怠惰の生活に溺れていたのでしょうか。その根底には、ジュウザとユリアの関係の真相に横たわる残酷な血の宿命がありました。
幼少期、ジュウザは美しく気高いユリアに心を奪われ、生涯のすべてを彼女に捧げることを誓っていました。しかし、恋心が芽生えた矢先、父から知らされたのは「ユリアはお前の異母妹である」という衝撃の事実でした。血縁の禁忌によって、愛する女性を妻として抱く未来は完全に閉ざされたのです。この精神的挫折が、ジュウザの心を深く蝕むことになります。
「どんなに愛しても、決して結ばれることはない」――この過酷な現実から逃避するため、ジュウザは美女を侍らせ、浴びるように酒を飲み、誰の指図も受けない「雲」としての無頼な仮面を被り続けました。南斗五車星としての招集を頑なに拒否していたのも、将の防衛という大義に意味を見出せなかったからです。しかし、使者ダーハから「南斗最後の将の正体はユリア様である」と明かされた瞬間、男の魂は完全に覚醒しました。自らの叶わぬ愛を、命を賭した守護という形で成就させるため、ジュウザは死地に飛び込むことを選んだのです。