手術に対する恐怖心として最も多く挙げられるのが「痛みへの不安」です。現代の初期中絶手術では、点滴から鎮静剤や鎮痛剤を投与する「静脈麻酔」が標準的に用いられます。麻酔が入ると数秒から数十秒で深い眠りに落ちるため、手術中に痛みを感じたり、手術器具の音を聞いたりすることは基本的にありません。
手術後の痛みは、生理痛の重いときのような下腹部痛として自覚されますが、処方される子宮収縮剤や消炎鎮痛剤を適切に服用することでコントロールが可能です。
安全な手術を行う大前提として、都道府県医師会が審査・指定した母体保護法指定医の資格を持つ医師が在籍する医療機関を受診することが不可欠です。指定医は高度な産婦人科手術の訓練を受けており、合併症の防止に万全の体制を整えています。
術後に懸念される合併症や後遺症には以下のようなものがあります。
- 子宮内感染症:術後数日から数週間は子宮口がわずかに開いており、細菌が侵入しやすい状態です。処方された抗生剤を最後まで飲み切り、湯船への入浴を控えてシャワー浴に留めることが大切です。
- 子宮内容遺残:胎盤組織などが一部残り、出血が長引く状態です。術後1週間前後の超音波健診で子宮の回復状態を必ず確認してもらいましょう。
- 精神的ストレス(中絶後症候群:PAS):術後に罪悪感や悲壮感、抑うつ症状を感じる女性は少なくありません。身体のケアだけでなく、臨床心理士やカウンセラーによる心のケアを受け皿として用意しているクリニックを選ぶことも有効です。