漢字の面白さを象徴するのが、木へんに「春夏秋冬」の四季を組み合わせた4つの樹木漢字です。古くから日本の自然観や暦と結びつき、風情ある情景を想起させます。
春:椿(つばき)
木へんに「春」と書く「椿」。春の訪れとともに艶やかな赤や白の花を咲かせることからこの字が当てられました。ただし、古代中国では長寿の伝説的な大木(荘子に登場する大椿)を指す文字であり、日本において現在親しまれているツバキの木へと意味が定着した経緯があります。
夏:榎(えのき)
木へんに「夏」と書く「榎」。夏の強い日差しを遮る大きな木陰を作り、一里塚の街道樹として旅人に涼を与えたことから名付けられたと伝えられています。生命力にあふれ、青々と葉を茂らせる夏の象徴です。
秋:楸(ひさぎ/きささげ)
木へんに「秋」と書く「楸」。秋になると長い実を垂らし、古くは碁盤の材料や薬用として重宝されました。現代の日常会話では見かける機会が減ったものの、文学作品や古典の記述に登場する雅な漢字です。
冬:柊(ひいらぎ)
木へんに「冬」と書く「柊」。トゲのある葉を持ち、冬に芳香のある白い小花を咲かせる常緑低木です。寒さの中で凛とたたずむ姿や、節分の魔除けとして玄関に飾る風習から、冬の季語・風物詩として広く定着しています。