ビジネスの交渉や問い合わせにおいて、相手が情報を持っているかどうかを確認したい場面は多々あります。しかし、「ご存知でしょうか?」と直接的に問うアプローチは、相手が仮に「知らなかった」場合に恥をかかせてしまう危険性を孕んでいます。
ビジネスメール敬語表現において、配慮の行き届いたライティングを行う際は、以下のような「ご存知でしょうか言い換え表現」を状況に応じて選択するのがプロの技法です。
パターンA:すでに伝達されているかを確認する場合
❌ 「弊社の価格改定の件はご存知でしょうか」
⭕ 「弊社の価格改定の件につきまして、すでにお聞き及びでしょうか」
「お聞き及び(おききおよび)」は、相手が風の便りや第三者経由で耳にしているかを丁寧に尋ねる表現であり、角が立ちません。
パターンB:資料や案内を確認してもらったか尋ねる場合
❌ 「先週送った仕様書の内容はご存知ですか」
⭕ 「先週お送りいたしました仕様書の内容につきまして、ご確認いただけておりますでしょうか」
知っているか否かではなく、「確認する作業が完了しているか」に行為の焦点を移すことで、相手への問い詰め感を完全に排除できます。
パターンC:前提知識を軽く確認しつつ本題に入る場合
❌ 「ご存知の通り、原材料費が高騰しています」
⭕ 「ご案内の通り、原材料費が高騰しております」(または「ご承知の通り」)
「ご承知の通り」は広く共有されている事実を述べる際に便利ですが、目上の人に対して使うと「お前も知っている通り」という上から目線の響きを帯びることがあるため、社外の上位者には「ご高承の通り」や「すでにご案内のこととは存じますが」とするのが安全です。