夕景写真の成否やデートの感動を決定づけるのは、太陽が沈む瞬間そのものよりも、日没前後に訪れる光の劇的変化です。映像・写真業界ではこの時間帯を光学的な状態に応じて3つのフェーズに分類しています。
1つ目が日没前の約30分間に訪れる「ゴールデンアワー(黄金の時間帯)」です。太陽高度が下がることで大気層を通過する光の距離が長くなり、青い光が散乱して赤い光のみが届くため、街全体が温かみのある金褐色に包まれます。建造物の影が長く伸び、立体感のある陰影描写が可能になります。
2つ目が日没直後から約20〜30分間続く「マジックアワー(市民薄明)」です。太陽が地平線下に隠れた後も、上空の大気が太陽光を反射・散乱させることで、空の上層の深い青と地表付近の鮮やかなオレンジ〜ピンクが混ざり合う壮大なグラデーションが出現します。現場で構えるフォトグラファーの多くが「シャッターチャンスの本番は太陽が完全に沈んだ直後から」と口を揃えるのはこのためです。
3つ目が日没から約30〜45分後に訪れる「ブルーアワー」です。空全体が濃紺の深いトーンに包まれ、東京タワーや超高層ビルのオフィス照明、道路を行き交う車のテールランプが鮮明に浮かび上がります。自然光の残光と人工光の輝度がほぼ均等に釣り合うため、白飛びや黒つぶれのない極めて階調豊かな夜景写真が撮影できます。