音楽ファンに大きな衝撃を与えたのが、2023年10月をもって発表されたインナージャーニーからの脱退でした。ワンマンライブのステージを最後にドラムスティックを置いた彼の決断には、どのような背景があったのでしょうか。
公式発表および当時の手記で語られた脱退理由は、「俳優業と音楽活動の狭間で生じるスケジュール的摩擦と、バンドメンバーに対する誠意」でした。2020年のNHK連続テレビ小説『エール』でドラマー役として俳優デビューを飾って以降、フジテレビ系月9『ナイト・ドクター』など話題作へ立て続けに出演。拘束時間の長いドラマ撮影と、ツアーや楽曲制作が必須となるバンド活動との両立は物理的限界を迎えていました。
「自分のスケジュールによって他のメンバーの歩みを止めてしまうのが何よりも心苦しい」という苦渋の決断は、音楽仲間への深い敬意の表れでもありました。この潔い決断を契機に、櫻井海音さんの俳優としての覚悟は一段と研ぎ澄まされます。
その後、WOWOWオリジナルドラマ『アオハライド』での主演・馬渕洸役や、世界的人気漫画の実写化プロジェクト『【推しの子】』での主人公・アクア役への抜擢など、映画・ドラマの最前線で次々と大役を射止めました。内面に葛藤や陰影を抱えるキャラクターを演じる際、彼が見せる目線の配り方や静かな激情の表現は、多くの映画監督やプロデューサーから絶賛を浴びています。