本作がサスペンス史に残る金字塔と称賛される最大の理由は、すべての点と線が鮮やかに結実する圧巻の伏線回収と、息を呑む黒幕の正体にあります。
スポンサー実業家パク・ムソンを殺害し、女子高生キム・ガヨンを刺傷した直接の実行犯は、西部地検事件課長のユン・セウォンでした。かつてハンジョ物流が起こした大型バス事故で最愛の幼い息子を奪われた彼は、事故の原因となった違法改造や安全基準違反をもみ消したパク・ムソンと、それを受け入れた検察・警察幹部への個人的復讐を実行していたのです。空港の屋上で見せた右肩のタトゥー「07(反転するとDT:韓国鉄道車両の製造番号)」が決定打となり、彼は逮捕されます。
しかし、この連続事件の全体像を設計し、水面下でユン課長に情報を流して操っていた真の黒幕こそが、イ・チャンジュンその人でした。
かつて高潔な検事だったイ・チャンジュンは、財閥の婿となったことで腐敗の構造に飲み込まれました。法律の力では決して断罪できない巨大な怪物(ハンジョグループ)を倒すため、彼は自らが最も深い泥沼に身を沈め、政財界の汚職の全貌を記録した膨大な内部告発資料を蓄積していたのです。そして自らを「法を執行できなくなった司法の生贄」と位置づけ、シモクという感情に流されない唯一無二の検事に後を託すため、建設中のビルから身を投げました。
「自分は怪物を倒すために、自ら怪物になってしまった」という独白とともに遺されたノートとUSBメモリ。シモクがそれを手にテレビの生放送で全容を暴露するクライマックスは、涙なしには見られない伝説的な名シーンとなりました。