違う神社同士の返納が容認される一方で、絶対に避けるべきなのが「神社とお寺(寺院)の混同」です。古札納所を巡るトラブルの約8割がこの宗教的区別の不徹底に起因しています。明治元年の神仏判然令(神仏分離令)以降、制度的にも祭祀体系的にも両者は完全に分立しています。
お札返納お寺と神社の決定的な違いは、祭祀の対象とその儀式形態にあります。神社は「日本の八百万の神」を祀り、祝詞(のりと)を奏上して「お焚き上げ(焼納)」を行います。一方、寺院は「仏菩薩(如来、観音、不動明王など)」を本尊とし、読経や護摩焚き(ごまだき)によって撥遣(はっけん・魂抜き)を執り行います。神社にお寺の護摩札を持ち込む、あるいはお寺の古札入れに神社の神札を投じる行為は、双方の宗教者に対して極めて失礼な負担を強いることになります。
また、お守りとお札返納場所の違いについても整理が必要です。お守りもお神札と同様に「神社か寺院か」で返納先を分ける原則は変わりません。ただし、授与品の素材(鈴や金属パーツ、プラスチックケースなど)が付属するお守りは、環境配慮の観点から古札納所での分別が厳格化しています。寺社問わず、持ち込む前に材質の確認を行うことが現場への最低限の配慮といえます。