苦悩の梨が拷問器具として悪名を轟かせた最大の要因は、処罰する罪状に応じて「挿入する部位」が冷酷に使い分けられていたという通説にあります。オカルト史や大衆向け歴史書では、主に異端審問や魔女狩りの時代において、以下の3つのパターンで運用されたと記録されてきました。
第1の対象は「口」です。正統な教義に反する言説を吐いた異端者、神への冒涜者、あるいは教会に対する嘘をついた罪人が対象とされました。口内に梨を押し込まれて全開に広げられることで、顎関節を外され、舌を押し潰されて二度と言葉を発することができない状態に追い込まれたと語られます。
第2の対象は「膣」であり、これが魔女狩りの文脈で最も多用された逸話です。悪魔と性的な契約を交わしたと告発された女性や、不倫・姦通を犯したとされる女性の体内に挿入され、生殖能力を不可逆的に破壊する拷問が下されたと喧伝されました。
第3の対象は「直腸」です。中世カトリック社会において大罪と見なされていた男色者(同性愛者)に対する懲罰として用いられたとされています。このように、罪人の犯した罪の性質と身体部位をグロテスクに結びつける設定が、苦悩の梨を「中世暗黒時代」の象徴へと押し上げる原動力となりました。