DVDディスクをパソコンで読み込んだ際、最上位階層に必ず配置されているのが「VIDEO_TS」という名称のフォルダです。このVIDEO_TSフォルダの正体は、DVDプレーヤーが規格通りにディスクを認識・再生するために定められた絶対的な格納場所であり、このフォルダが存在しなければ正規のDVD機器はディスクをメディアとして認識できません。
フォルダ内にはVOBファイルのほかに、「.ifo」や「.bup」という見慣れない拡張子のファイルが対になって保存されています。これらはVOBファイル単体では機能しない、極めて重要な役割を担っています。
IFOファイルとBUPファイルの違いは、端的に言えば「司令塔」と「その予備」という関係性にあります。
- IFOファイル(Information):DVDの再生制御を司るナビゲーション情報ファイル。どの順番でチャプターを再生するか、アスペクト比(16:9か4:3か)、音声トラックの切り替え順、メニュー画面のボタン配置といったメタデータが記録されている。
- BUPファイル(Backup):IFOファイルと寸分違わぬ同一データが書き込まれたバックアップファイル。ディスクに擦り傷や汚れがつき、IFOファイルが読み取り不能(CRCエラー)になった際、プレーヤーが自動的にBUPを代替参照して再生停止を防ぐフェイルセーフの役割を果たす。
インターネット上の質問掲示板などで「VOBファイルだけをデスクトップにコピーしたら、映像は流れるが画面が横に引き延ばされる」「音声が突然英語に切り替わってしまう」といったトラブル相談が後を絶ちません。これは、画面の縦横比やデフォルト音声の指定を司るIFOファイルの情報が切り離され、再生ソフトがVOB内の生データのみを機械的に解釈しようとした結果生じる現象です。