長年、臨床報道と医療現場の取材を重ねてきたジャーナリストの視点から、読者の皆様へ明確な警鐘を鳴らします。日本には古くから「痛みに耐えること=美徳」とする精神論的な風潮が根強く残っています。しかし、三大激痛において「痛みの我慢」は純粋な身体的・精神的リスク以外の何物でもありません。
痛覚神経が強力な刺激に長時間晒され続けると、脊髄後角や大脳皮質において痛みの伝達経路が過敏化する「中枢性感作」を引き起こします。これにより、原因となった結石が排出された後や血管圧迫を解除した後でも、脳が幻の痛みを記憶し続け、難治性の慢性疼痛へと移行してしまう危険性があるのです。激痛を耐え忍ぶことは、自らの手で脳の神経回路を破壊することと同義です。
医療機関へ直行すべき人と、受診科の選択基準
痛みの性質によって、選択すべき診療科は明確に分かれます。
- 下腹部・腰の激痛+血尿・排尿障害:迷わず「泌尿器科」を受診してください。夜間であれば救急外来を選択します。
- 片目の奥の激痛+充血・涙・深夜の規則的発作:「頭痛外来」または「脳神経内科」へ。群発頭痛は専門医でなければ正しく診断されないケースが多いため、日本頭痛学会専門医のいる施設を探すことが鉄則です。
- 顔面の電撃痛+接触による誘発:「脳神経外科」または「ペインクリニック」を受診してください。早期にカルバマゼピンの適正処方を受けることが、衰弱を防ぐ唯一の手段です。
もし真夜中に突然の激痛に見舞われ、救急車を呼ぶべきか迷った場合は、救急安心センター事業(#7119)や各自治体の夜間医療相談窓口へ直ちにダイヤルしてください。専門の看護師や医師がトリアージを行い、直ちに出動要請を出すべきか指示してくれます。「これくらいの痛みで呼んだら迷惑かもしれない」という遠慮は、激痛医療の現場においては不要です。