15km前後の道のりを踏破するために、人間はどれだけの時間を拘束されるのでしょうか。不動産の物件表記基準として知られる「徒歩1分=80m」は、時速4.8kmに相当します。しかし、これは信号待ちや勾配のない直線路を淀みなく歩いた場合の机上の空論です。
都市部や住宅地の実生活において、信号停止やスマートフォン操作、疲労による後半のペースダウンを加味した現実的な巡航速度は時速4.0km前後に落ち着きます。このペースで計算すると、14〜16kmを歩行する所要時間は純粋な歩行時間だけで3時間30分から4時間に達します。途中での水分補給や小休止を挟めば、拘束時間は優に4時間半を超え、半日作業に匹敵するタイムスケジュールを覚悟しなければなりません。
一方、消費エネルギーに目を向けると、ウォーキングの消費カロリーには確固たる生理学的算出式が存在します。最も実用的な簡易式は「体重(kg) × 移動距離(km)」です。あるいは、国立健康・栄養研究所が提示する身体活動強度(METs)に基づく詳細な計算式[消費カロリー(kcal) = 1.05 × METs × 時間(h) × 体重(kg)]を用いても、ほぼ近似した値が導き出されます。
平地を時速4kmで歩く活動強度は約3.0〜3.5METs。体重55kgの女性が14.4km(約3.6時間)歩いた場合、消費カロリーは約750〜790kcal。体重70kgの男性が15.3km(約3.8時間)歩いた場合、約1,000〜1,070kcalを消費します。成人男性の一日の推奨摂取カロリー(約2,200〜2,600kcal)の半分近くを、ウォーキング単体で燃焼させる計算です。これは牛丼大盛り1杯、あるいは生ビールジョッキ5杯分を帳消しにする圧倒的なエネルギー消費量と言えます。