エシカルファッションを巡る言説の中には、美化されたイメージ先行による誤解や、構造的な問題点が潜んでいます。なかでも最も警戒すべき罠が「グリーンウォッシング」の横行です。
大手アパレル企業が「リサイクル素材を10%使用したコレクション」を大々的に宣伝しながら、その裏で毎シーズン数千万着もの化繊衣料を安価で大量生産し、売れ残りを密かに処分している事例は後を絶ちません。表面的なPRキャンペーンによって「環境配慮型企業」という免罪符を獲得しようとする手法は、消費者を欺く行為として国際的に厳しい視線が注がれています。
さらに見過ごせないのが、日本国内特有の普及の壁です。消費者庁や環境省が公表したエシカル消費に関する意識調査動向を参照すると、興味深い「意識と行動の断絶」が確認できます。
「人や社会、環境に配慮した製品の購入に関心がある」と答える層は全体の約6割前後に達するものの、「実際に購入を意識して買い物をしている」と答える実践層は2割から3割程度に留まっています。この背景には、約30年に及ぶデフレ経済によって刷り込まれた「服は安くて当たり前」という価格感覚に加え、日本社会特有の「エシカルを語ること=意識高い系という冷ややかなラベリング」を恐れる同調圧力が存在します。
また、古着の回収・寄贈にまつわる構造的欠陥も大きな盲点です。「着なくなった服を回収ボックスに入れれば誰かの役に立つ」と信じ込んでいる消費者は少なくありません。しかし現実には、先進国からアフリカ諸国(ガーナなど)へ送られる古着の多くが、品質の悪さや過剰供給ゆえに現地で売れ残り、巨大なゴミの山となって川を埋め立て、深刻な環境破壊を引き起こしています。リサイクルに出すこと自体が、ゴミの押し付けという「エシカルの皮を被った環境汚染」にすり替わっているケースがあるのです。