栽培の過程で読者を最も悩ませるのが、葉や茎の異変です。これらはすべて植物からのSOSサインであり、早期に異変を察知して的確な処置を施す必要があります。
胡蝶蘭 根腐れの症状と復活法を知る上で、最も警戒すべきは「葉にしわが寄り、元気がなくなってくる現象」です。初心者はこのしわを見て「水が足りない!」と勘違いし、さらに大量の水を与えて根を完全に窒息死させてしまいます。根腐れを起こすと、根が水分を吸い上げるポンプ機能を失うため、土がどれだけ濡れていても葉には水分が届かず、結果として水切れと同じしわしわの状態に陥るのです。鉢からドブのような異臭がしたり、水やり後何日経っても用土が乾かない場合は、高確率で根腐れを発症しています。
根腐れから株を復活させるには、即座に鉢から株を抜き取り、腐敗した根をすべて切除します。もし健康な根が1〜2本しか残っていなかったとしても諦める必要はありません。根を綺麗に洗い、日陰で半日ほど乾かした後、少量の湿らせた水苔の上に根を軽く乗せ、透明なビニール袋で鉢ごと包んで湿度を保つ「集中治療ドーム」を作成します。室温20℃以上をキープしながら風通しの良い明るい場所に置くことで、数週間から1ヶ月ほどで茎の節から新しい力強い緑色の新根が顔を出してきます。
次に、胡蝶蘭 茎が黄色くなった場合の対処ですが、変色している部位が「古い花茎」なのか「株の中心部」なのかで深刻度が180度異なります。花が終わった後の花茎が上部から先端に向かって黄色〜薄茶色に変色し、カサカサに乾燥していくのは、植物が不要になった器官を自ら切り離そうとする自然な生理現象です。この場合は、黄色くなった部分の根本から清潔なハサミでバッサリ切り落としてしまって何ら問題ありません。しかし、葉が生え出ている中心部(クラウン)や、緑の葉の根元そのものが黄色く変色してブヨブヨになっている場合は、フザリウム菌などによる「軟腐病」や「芯腐れ」の可能性が高いため、患部を削り取って殺菌剤を塗布する緊急オペが必要となります。
また、「何年も育てているのに胡蝶蘭 葉だけ 元気な理由がわからない」という相談も後を絶ちません。肉厚な緑の葉が何枚も展開しているのに花芽が一向に出ない原因は、主に2つの環境要因にあります。1つ目は「日照不足」です。直射日光は葉焼けの原因になりますが、暗すぎる部屋の隅では光合成量が足りず、花を咲かせる余力が生まれません。2つ目は「秋の寒暖差(低温刺激)の不足」です。胡蝶蘭は、秋(10月〜11月頃)に最低気温18℃前後の涼しさに2〜3週間ほど晒されることで、「冬が来る前に子孫を残さねば」とスイッチが入り、花芽を形成(花芽分化)します。年間を通じて25℃前後のエアコンが効いた一定の部屋に置きっぱなしにしていると、植物は永遠の成長期と勘違いし、葉ばかりを増やし続けて花芽を作らなくなってしまうのです。