たらこ唇に悩む人の多くが「生まれつきだから変わらない」あるいは「マッサージだけで劇的に薄くなる」という極端な二者択一に陥りがちです。唇が厚く見えてしまう背景には、先天的要素と後天的要素が複雑に絡み合っています。
第一に挙げられるのがたらこ唇の遺伝と骨格の要因です。日本人の顔面骨格において、上顎骨や下顎骨が前方へ突出している「上下顎前突」、いわゆる出っ歯の傾向があると、前歯に押し出される形で赤唇部(唇の赤い部分)が外側へめくれ上がります。組織自体の体積がそれほど多くなくとも、骨格構造によって唇が分厚く強調されてしまう現象です。
第二の見落とせない要因が、慢性的な口呼吸です。鼻呼吸が定着せず口呼吸が習慣化していると、口元が常に半開きになり、口周りを取り囲む口輪筋の筋力低下を招きます。筋肉の締まりが失われると唇がだらしなく弛緩し、外側へ反り返ってしまうのです。さらに、外気へ絶えずさらされることで口唇粘膜が慢性的な炎症や乾燥を起こし、組織が防御反応として肥厚・充血し、慢性的なむくみを引き起こす負の連鎖が確認されています。
つまり、生まれ持った骨格だけでなく、日々の姿勢や口腔習慣によって「後天的に唇が厚く見えている」ケースが極めて多く存在します。