安全性に問題がないとすれば、気になるのは「味と肉質」の違いです。国産鶏肉とブラジル産鶏肉を比較した際、明確に現れる違いは「水分保持力」「脂の質」「流通温度帯」の3点に集約されます。
国産鶏肉の多くは、食鳥処理場から一度も凍結されることなく冷蔵便で店舗へ運ばれる「チルド肉」です。細胞組織が破壊されていないため、加熱しても肉汁(ドリップ)が逃げにくく、鶏肉本来の繊細な旨味と弾力のある歯ごたえが楽しめます。
一方、ブラジル産鶏肉は船便で数週間かけて日本へ輸送されるため、現地で急速凍結された「冷凍肉」として輸入されます。急速冷凍技術自体は進化しているものの、家庭での解凍時にどうしても細胞膜が傷つき、旨味成分を含んだドリップが流出しやすくなります。これが「パサつき」や「味が薄い」と感じられる直接的な原因です。
また、飼料の違いによる風味の差も存在します。ブラジル産はトウモロコシ主体で育つため、皮下脂肪に独特のコクや重さがあり、解凍後の脂が酸化すると特有の匂いを感じることがあります。
しかし、用途を選べばこの特性は大きな強みになります。素材の淡泊な味わいを活かす水炊きや焼き鳥には国産が適していますが、ニンニクや生姜、醤油、スパイスを効かせる唐揚げ、カレー、タンドリーチキン、チキンカツなどでは、ブラジル産鶏肉のしっかりした肉質と脂の旨味が抜群のコストパフォーマンスを発揮します。