魚津埋没林博物館を訪れた人々が真っ先に抱く疑問が、「なぜ木材が約2000年もの間、腐敗せずに当時の姿を留めているのか」という点です。通常、倒木や枯れ木は空気中の酸素や微生物の働きによって数十年から数百年で土へと還ります。しかし、魚津の埋没林には奇跡的な自然条件が幾重にも重なっていました。
今から約2000年前の弥生時代、片貝川の急激な氾濫によって大量の土砂が原生林を覆い尽くしました。その後、海面の上昇に伴って森林地帯が海面下に没したものの、北アルプス・立山連峰から絶え間なく湧き出る冷たく清らかな地下水が土砂の層を満たし続けました。これにより木を分解する菌類や微生物の活動に必要な酸素が完全に遮断され、真空パックのような「無酸素状態」が保たれたのです。
現在、館内の水中展示館では、発掘された当時の場所のまま巨大なスギの樹根が透明度の高い地下水に浸されて保存されています。ガラス越しに広がる青く澄んだ水の世界に鎮座する巨根の佇まいは圧巻であり、悠久の時を止めた自然の驚異を肌で実感できます。