高松港の東側に位置する北浜地区。かつて四国の玄关口として賑わい、その後時代の波とともに役割を終えかけていた昭和初期の倉庫群が息を吹き返したのは、地元建築家らの情熱によるリノベーション事業がきっかけだった。無骨な鉄骨構造や、幾重にも塗り重ねられたペンキの剥げ落ちた壁面。それらを「隠すべき老朽化」ではなく「時間にしか作れない美」として再解釈した空間設計は、登場から四半世紀近くが経過した現在も色あせるどころか、年月の経過とともに深みを増している。
風化の美徳を宿した建物のあちこちには、瀬戸内の潮風が心地よい抜け感を生み出している。路地裏のような狭い通路を抜けると突如として現れる吹き抜けの広場や、隠れ家のように階段の先に佇むギャラリー。迷路のような立体的な構造が、訪れる者の冒険心をくすぐって離さない。