聴診で肺水腫を疑った後、迅速な確定診断と重症度判定のために直ちに行われるのが胸部X線検査です。心原性肺水腫が進行した際、胸部レントゲン上に現れる最も特徴的な像が「バタフライシャドウ(蝶形陰影)」です。
これは、肺門部を中心に左右対称の淡い浸潤影が広がり、まるで蝶が羽を広げたような形状に見えることから名付けられました。あわせて、心臓の拡大(心胸郭比50%超)や、肺の間質浮腫を示す「Kerley B line(カーリーBライン)」、胸水の貯留像などが確認されます。
診断が確定した段階で、日本循環器学会等の最新治療ガイドラインに準拠した緊急対応が電撃的に展開されます。主な治療ステップは次の通りです。
1. 体位管理と酸素投与:患者を起座位(座った状態)に保ち、静脈還流を減らします。低酸素血症に対しては酸素投与を行い、自発呼吸がある重症例には非侵襲的陽圧換気(NPPV)を速やかに導入して肺胞を押し広げます。
2. 血管拡張薬の投与:ニトログリセリンや硝酸イソソルビドを静脈内投与し、前負荷および後負荷を軽減して心臓の負担を取り除きます。
3. ループ利尿薬の投与:フロセミド等の利尿薬を用い、体内に滞留した余分な水分を尿として急速に排泄させます。