十五夜のお月見といえば、三方に盛られた月見団子と揺れるススキが欠かせない。この時期になると和菓子業界の店頭には、月を見立てた黄金色の生菓子や、ウサギを象った可愛らしい餅が並び、街全体にお月見の情緒を広げていく。
お供えものには、それぞれ深い意味と作法が存在する。団子の個数は「十五夜」にちなんで15個、あるいはその年の満月の数に合わせて12個(うるう年は13個)を盛るのが一般的だ。ピラミッド状に積む際、最上段の1個は神聖な月と下界をつなぐ象徴とされる。また、団子と一緒にサトイモやサツマイモなどの収穫物を備えることから、十五夜は別名「芋名月」とも呼ばれる。
一方、切り立ったススキは魔除けの力を持つとされる。切り口が鋭いススキの穂は神の依り代(よりしろ)であり、悪霊を払い秋の収穫を感謝する役割を果たしてきた。現代の住環境であれば、リビングの窓辺やベランダに小さな一輪挿しでススキを活け、三方や小皿に団子を並べるだけでも十分だ。月神への感謝を込めたしつらえが、秋の夜の空間を静かに引き締めてくれる。