通称「ハンコ注射」と呼ばれている予防接種の正式名称は、BCGワクチン(Bacille Calmette-Guérin)です。フランスのパスツール研究所でウシ型結核菌を長年継代培養し、毒性を弱めて作られた弱毒生ワクチンを使用しています。
最大の目的は、結核菌による感染症、とりわけ乳幼児が感染すると命に関わる結核性髄膜炎や全身に菌が広がる粟粒(ぞくりゅう)結核の発症を未然に防ぐことです。厚生労働省や国立感染症研究所の公表データによれば、乳幼児期のBCG接種によって、これらの重篤な小児結核に対する発症予防効果は約80%〜85%、死亡リスクの軽減効果は約70%と極めて高い水準が実証されています。
「結核は昔の病気」と誤解されがちですが、日本国内では現在も年間1万人以上の新規登録患者が発生しており、欧米先進国と比較して中蔓延国の水準にとどまっています。特に抵抗力の弱い乳幼児にとって結核菌は致命的な脅威となるため、国の定期予防接種(公費負担で無料)として厳格に位置づけられています。