日本酒ビジネスの成功と並行して、中田が心血を注ぐのが伝統工芸の再構築だ。全国の陶芸家、漆工芸家、木工職人のもとへ足を運び、後継者不足や市場縮小に悩む現場の声を聞き続けてきた。彼が提供するのは単なる資金援助ではなく、現代のライフスタイルに合致したプロダクトデザインの提案と、グローバルな販路開拓である。
九谷焼や有田焼、輪島塗といった伝統の技法に、圧倒的にモダンな感性を掛け合わせる。パリやニューヨークのコレクターたちが争って買い求める現代美術品としての価値を付与することで、職人が正当な対価を得られる経済圏を作り出した。伝統を守るとは、過去の形式に固執することではなく、現代の文脈で生き続けさせること。中田の哲学は、失われつつあった日本の職人技に新たな息吹を注ぎ込んでいる。