2018年秋の幕張メッセ「無観客ライブ」を最後に、X JAPANとしてのフル編成ライブは開催されていません。2026年には新曲『Angel』がリリースされたものの、プロモーションにおけるメンバー稼働はなく、メディアやファンの間では「YOSHIKIとToshlの不仲」が活動停滞の決定打であると囁かれてきました。
この噂の真相について取材記録や業界関係者の動向を精査すると、ゴシップ誌が書き立てるような「単なる感情的な喧嘩」という枠組みを大きく超えた、極めて現実的かつ構造的な問題が浮き彫りになります。
第1の決定打は「契約と権利関係(マネジメント問題)」です。2010年代半ば以降、Toshlは個人事務所の体制を刷新し、自身の歌唱原盤権や肖像権の管理を厳格化させました。X JAPANの楽曲や映像を使用する際の契約交渉が難航し、YOSHIKIが率いる制作サイドとToshl側マネジメントとの間で条件面での合意形成が困難になったと報じられています。
第2は「音楽的アイデンティティの分離」です。Toshlは「龍玄とし」としてテレビ出演やクラシック・ポップスのカバー活動に新境地を見出し、自立したエンターテイナーとしての確固たる地位を築きました。かつて洗脳騒動という壮絶な試練を乗り越えたToshlにとって、「X JAPANのボーカル」という過酷な重圧から距離を置き、自身のペースで表現を続けることは精神的な健康を保つための不可欠な選択だったと言えます。
【プロの結論】「幼馴染ビジネス」の限界と心理的バウンダリーの観点
心理学および組織論の観点から見ると、YOSHIKIとToshlの関係は「幼少期からの無二の親友」が「世界的巨大ビジネスの共同当事者」へと変貌した典型例です。幼馴染ゆえに甘えや過度な期待が生じやすく、同時にひとたびビジネス上の利害が対立すると、赤の他人以上に心理的バウンダリー(境界線)を引き直すことが難しくなります。
互いにリスペクトを抱きつつも、一度引いた境界線を崩してまでバンド活動に飛び込む動機が見出せない状態であり、現在の距離感は双方が破滅を避けるための「成熟した安全装置」として機能しているとも解釈できます。